龍(天幕の刺しゅう)
昔、中国で考えだされた想像上の、縁起のいいおめでたい生きものです。
地上、空中、水中どこにでも住み、雲や雨を思いのまま支配する力を持っているといわれています。龍が現われる時は必ず、国家におめでたいことが起こるといわれ、その時は、お祝いをし、お祭りをし、年号を改めるとされています。
角は鹿、頭は駱駝、眼は鬼、うなじは蛇、腹は「みづち」、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似ていて、喉もとには、一尺(約30cm)四方くらいの逆さに生えた鱗があり、ここに触れると凄まじい勢いで怒りだし、触れた者を生かしてはおかないということです。「逆鱗に触れる」という言葉はここから生まれたものです。
玉を愛し、燕の肉を好むと言い、鉄、むかで、笹の葉、五色の糸が大嫌いであるとも言います。
一口に「龍」といっても、その種類はいくつにも分かれていて、その分け方にも色々な説があります。
鱗のあるものを「蛟龍」、翼のあるものを「応龍」、角のあるものを「蚪龍」、などと形によって名前が違うという説があるかと思えば、「蛟」が千年たつと「龍」になり、「龍」が五百年たつと「角龍」と化し、さらに千年たつと「応龍」となる。年とともにその色が黄色になっていく、などと年令に応じて呼び名が変わるという説などもあります。
龍は、おめでたい動物ということで、「昇り龍」・「下り龍」などと、森町の「武家凧」にもよく描かれています。
この天幕は、昭和天皇のご成婚を祝して制作したもので、原画は、当町出身の原科氏の作です。東京の「白木屋」へ注文しましたが、ちょうどその時関東大震災がおこりました。東京は焼け野原になりましたが、刺しゅうをするため京都へ出してあったこの天幕は助かったというエピソードが残っています。
この解説が載っている箇所:比雲社(仲横町) 森の巻 p.43-44、開運社(上野平) 北の巻 p.91-92、瑞雲社(円田) 南の巻 p.135
書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。
龍虎
中国の昔の書物に、「龍は雲を呼び、虎は風を起こす」「雲は龍に従い、風は虎に従う」などという言葉があるそうですが、「龍」と「虎」の組合せについては、特に物語がある訳ではありません。ただ、龍も虎も、ともに特別すぐれた強い力をもったものとしてこの二つを対にして画にしたものではないかと思われます。そこで、特別強いものどうしの対決を表す「龍虎の争い」などという言葉もできてきたというわけです。
この解説が載っている箇所:凱生社(天宮) 森の巻 p.20、福明社(福田地) 南の巻 p.96
書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。
龍仙人
この仙人の名前がはっきりしません。龍と関係の深い仙人は、大勢います。「馬師皇」または、「師門あるいは孔甲」ではないかと仮定して書いてみました。
馬師皇……黄帝の頃の馬の医者で、どんな馬の病気でもたちどころに治してしまうと言われていました。
ある日、一匹の龍が空から降りてきて師皇にむかって耳を垂れ口を開けました。「この龍は病気で、私が治せることを知ってやってきたにちがいない」そう思った師皇は、唇の下に鍼をさしてやり、煎じ薬を口のなかへ入れて飲ませてやりました。
病気が治った龍は、その後も病気になるたびに波の中から出てきては治療してもらいました。ところがある朝、やってきた龍は、師皇を背中に乗せると、どこともなく姿を消してしまったということです。
師門あるいは孔甲……師門は桃や李の花びらを食用にしていました。ある時、夏の国の孔甲の龍の飼育係に雇われました。しかし、孔甲は、自分の思う通りに龍が使えないので、師門を殺して外に埋めてしまいました。ある朝、ものすごい風雨が起こりこれが止んだときには、山の樹木はことごとく焼け焦げていました。孔甲は身を清めて祈りましたが、家に帰る途中で死んでしまったということです。
(この彫刻の下絵だけは、当時仲横町在住の原氏のもの)
この解説が載っている箇所:沿海社(川原町) 森の巻 p.107
書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。
龍/鳳凰/飛龍
龍(左右欄間)(くわしくはP.91)、鳳凰(支輪)(P.85参照)、飛龍(腰長押)(前欄干正面)
この解説が載っている箇所:共進社(乙丸) 北の巻 p.99
書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。
獏/鶴・亀/七福神/双龍
獏(木鼻)P96参照、鶴・亀(支輪)詳しくはP22・P119参照、七福神(左右御簾脇・正面欄間)詳しくはP41・P47・95・101・102・119参照
この解説が載っている箇所:南開社(南戸綿) 南の巻 p.89
書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。