屋台に刻まれた物語English

題材からめぐる

韓信の股くぐり

本の参照頁:森 p.29

韓信(かんしん)の股くぐり

昔、中国に、韓信という男がいた。家が貧しく、職もなく、ぶらぶらと毎日を過ごし、金もないので他人に食物をめぐんでもらっては暮らしていた。やることもないので釣りでもして暇をつぶす。こんな様子なのでみんなから馬鹿にされ、いやがられていた。

肉屋で働いていた或る若者は、いつもこの韓信を鹿にしていた。

ある日のこと、道で韓信と出会ったとき通せんぼをし、馬鹿にして大声で言った。「おい、臆病者!でっかい身体で、刀はさしているが、何にもできないんだろう。できるものなら、その刀で 俺にはむかってこい。俺に刺し殺されたくなかったら、俺の股のしたをくぐって通っていけ。」

韓信という男、ぐっと歯をくいしばると四ん這いになって股くぐりをしてしまった。見ていた人々は「やーい、臆病者!馬鹿者!」と、みんな韓信をあざけり笑った。 しかし、男は平気であった。それは、「私には、一生をかけた大きな望みがある。つまらないことで争って怪我をしたり、命を落としたりするより、少しぐらい恥をかいても良い、ここは我慢をしよう。」と考えていたからであった。

やがて、中国で、項羽と劉邦という二人の英雄が争っている時、この男、最初は項羽の軍に身を寄せていましたが、先を見通し、今度は劉邦の軍に身を寄せました。そこで、彼はたいへん多くの手柄をたてて、後には、ついに、楚という国の王にまでなりました。

王になった韓信は、若いとき食物をよくめぐんでくれた洗濯婆さんに厚くお礼をし、股をくぐらせた若者を呼び寄せ、自分の国の軍の中尉という役につけたということです。

この解説が載っている箇所:北街社(新町) 森の巻 p.29、若宮社(若宮) 南の巻 p.62

書き起こし・書き起こし(未校正)。文章は各箇所でほぼ同じ内容。細かな表記の違いは各屋台のページで確認できます。

この題材の彫刻(2台・2点)

北街社 新町

若宮社 若宮